発音の勉強が大事って言うけど、他の問題集もやらなきゃいけないし、あまり時間かけたくないのよね。。ざっとでいいから発音記号を勉強できないかな?
今回はこんな人を対象に、発音記号とアクセントについて書いていきます。
通常、発音は何時間も勉強しなければいけませんが、この記事では最低限必要な部分に絞って、3分程度で読めるようにしてあります。
これを読めば、英語の発音の基本的な知識はつくはずです。
その後は、練習と実践あるのみです。
その練習と実践にについても、どのように勉強していけばいいか解説したいと思います。
ちなみに信用のために念のため書いておきますが(笑)、私は以前貿易の仕事でアメリカに出張した際、現地の日本人通訳さん帯同の案件だったのですが、
「Your English is slightly better.(あなたの英語の方が若干良いようだね。)」
と、横にいた通訳さんよりも、私の発音を褒められたという経験があり、それぐらい発音は平均的な日本人の発音よりかなり上手いという自負があります。
と同時に、そのときのクライアントの反応、態度(信頼してる感)が明らかに私寄りだったので、「発音って大事なんだなぁ」と肌で感じました。
発音を学ぶのは、意味が通じるという以上に、信頼や信用をもたらすぐらい価値があることです。
もくじ
なぜ発音を学ぶ必要があるのか?【通じない、なめられる】
そもそも、日本人の発音、日本語なまりはひどいもので、世界から馬鹿にされています。
アメリカの大統領ですら、日本人記者からの質問に対して「あなたの言っていることが全く分からない」と連発し、その態度を批判されるということがありました。
その記者の発音がどうだったのかは別にして、日本人の発音に対する評価はそんなもんです。
とはいえ、完璧な発音を手に入れるのは、ほとんど無理だと思っておいた方がいいです。
SLA(第二言語学習論)の学者が書いた本にも、このように書かれています。
SLAの観点からは、ネイティブのような発音になることは非常に難しい。これをまず理解しておいてください。・・・ですから、一応ネイティブの発音をターゲットにしておいて、それに近い音をめざす・・・というのが現実的には一番いいですしょう。
英語はもっと科学的に学習しよう(白井恭弘 著)
私も英語の発音も完璧だとは思いませんし、とてもネイティブ並みとも思いません。
ただ、英語の発音において、最低限押さえるべきポイントはしっかり押さえているとは思うので、その辺がアメリカ人クライアントに褒められた要因だと思います。
しかしながら、日本語なまりのカタカナ英語のままだと、確実にコミュニケーションに支障が出ます。
発音記号について書く前に、どうして発音が重要なのか、少し解説しておきます。
【事実】日本語と共通している音は1割だけ
そもそも、カタカナで置き換えたような日本語なまりの英語は、事実上英語ではないです。
なぜなら、日本語の音と英語の音は、たった1割しか共通していないからです。
私が英語の発音のすべてを学んだ「英語耳」という本でも、このように書いています。
英語には、ぜんぶで43個の音があります(数え方によって若干変わります)。日本語とほぼ同じと言っていい音は、そのうちの5~6個くらいです。つまり約9割の音は、日本人にはなじみがない音ということになります。日本人にとって、英語の聞き取りが難しいのはこのためです。
英語耳 ~発音ができるとリスニングができる(松澤喜好 著)
だから、発音をきちんと学ばないと、「英語を話しているつもりでも、それは英語ではない」のです。
【現実】何度も聞き返される、無視される
私も経験があります。
ちょっと自信なく、もごもごと発音した時などは、普通に「Pardon?」とか「Sorry?」とか聞き返されます。
少しカジュアルな関係だと、「Huh?(ハァ?)」と言われます。
これは日本語でいうところの、「何言ってんのあんた」という意味で聞き返す「ハァ?」とほとんど同じ発音なので、傷つきます(汗)
また、聞き返されるならまだしも、無視されることもあります。
つまり、「なんか言っている事よくわかんないけど、まあいいや」と流されるパターンです。
これは私も経験がありますが、発音だけに限らず、センテンスの作り方、単語のチョイスが違っていたりして、こちらの言っていることが通じないと、こうなります
これはビジネスの現場においては、深刻な問題につながります。
ビジネスの場面では、実は発音がとても大切なんです。発音が悪かったり、変ななまりがあったりすると、話している内容の価値が半減してしまう。「よく分からないけど、まあ、いっか」というふうに、発言が流されてしまうこともあります。私自身、そういう場面を何度も見てきました。
アップル・ジャパン元社長の英語塾が「発音」にこだわる理由 – GOTCHA!
あまりに聞き返されると、自分の英語に自信がどんどんなくなり、話すのが億劫になってきます。
そして、自信のなさから、口調もちょっともごもごしたり、ぼそぼそ発音してしまうことで、ますます聞き取れない発音になってしまうという悪循環になってしまうのです。
発音記号の全種類一覧【46個】
これは、前出の「英語耳」の巻末付録を写真に撮ったものです。
子音【23個】
子音(母音あいうえお以外)は全部で、23個あります。
赤丸で囲んだものが、最低限必要な覚えるもので、これはあとで説明しますね。
母音+α【23個】
母音(あいうえお)は全部で、22個で、Rも合わせると23個になります。
赤丸で囲んだのがこれから解説するものですが、相当絞り込んでます!
「英語耳」はぜひとも買って、ひと通り学習してほしいところですが、ここでは超時短化して最低限の基本パターンだけ覚えることを提案しています。
実際、厳密に言えば、日本語と共通している音は1割しかないと書きましたが、日本語のカタカナ読み(ローマ字読み)で発音しても、大きな支障がないものもあるんです。
そこは思い切ってショートカットしても良いと思うので、ここからはその基本パターンを解説していきます。
【覚え方】基本パターンは14個しかない
今ほど見たように、発音記号は全部で46種類ありますが、知っておくべきなのは14個だけでOKです。
それ以外は、基本の14個の応用だったり、カタカナ読みでも、大して支障はないものばかりです。
冒頭で書いたように、結局、第二言語として学ぶ私たちにとって、完璧な発音にはたどり着けません。
それなら効率的に勉強しましょうよ、という話です。
そのため、解説も分かりやすく、日本人が出しやすい、それでいて「きちんと通じる、なめられないレベル」の発音を解説していきます。
あまり発音に神経質になりすぎるのも、勉強の効率が悪いですからね。
他にも時間を割くべきことは沢山あります。
[ s ]
これはカタカナの「ス(su)」に近いですが、そこから「su」の「u」の音をなくしてみてください。
口の形を横に引っ張って「イー」の口をしても、その音が出ればOKです。
むしろ口の形をどんな形にしても、変顔みたいな口にしても出るのが [s] です。
実際の音はこちらのサイトで確認してください。(英語のサイトですが、文章は無視していいですからね。下の方に再生ボタンがあります。)
この [s] をそのまま濁らせると [z] になりますので、[z] はわざわざ勉強しなくてOKです。
[ ʃ ]
これは、近寄ってくるな「シッシッ!」の「シ」、または静かにしなさい!という「シー!」の「シ」です。
まさにその音だと思ってOKです。
実際の音はこちらのサイトですので、比べてみてください。
[ s ] との音の違いは、[ s ] が「スィ」に近く、 [ ʃ ] は「シ」に近いイメージです。
[ ŋ ]
これは鼻で出す音で、鼻歌のときに出す音でOKです。
実際の音はこちらのサイトで、確認してください。
[ f ]
下唇を上に持ち上げて、上の前歯にかるく当てて、「フー」と息を出すときに出る音です。
注意としては、ここの「フー」はカタカナの「フー」のように口を丸めてはいけません。
また、下唇は通常の自然な位置から、そのまままっすぐ上に少し上げるイメージです。
実際の口の動き音は、こちらの動画で確認してください。
[ f ] の音を濁らせると、それがそのまま [ v ] の音になります。
[ θ ]
まず上の歯と下の歯で、舌の先をはさみます(軽く触れる感じ)。
そしてそのまま、息をスーッと出すと、それが [ θ ] の音です。
その息をスーッと出しながら、舌をゆっくり引いて元のいつもある位置に戻してみてください。
舌が歯から離れる瞬間にも、破裂音のような音が出ると思いますが、それも [ θ ] の音です。
これは動画で確認するのが一番です。
ちなみに、この [ θ ] を濁らせると [ ð ] になります。
[ ʧ ]
これは簡単、カタカナの「チ」とほぼ同じでOKです。
これを濁らせた、カタカナの「ヂ または ジ」が [ʤ] になります。
動画で念のため、確認してみてください。
[ l ]
これは日本人が苦手な、L音です。
これは舌の先を前歯の裏側にくっつけた状態で、「らりるれろ」を言ってみてください。
それがLの音です。
LとR [ r ] はともに、カタカナでは「らりるれろ」になりますが、舌をちょっと奥に引きながら、どこにもくっつけないで「らりるれろ」と言うと、R [ r ] の音になります。
こちらの動画ではLの音とともに、LとRの違いを実際に発音していますので、確認してみてください。
[ j ]
アルファベット読みの「ジェイ」は完全に忘れてください。
これはカタカナで「イャ・イ・イュ・イェ・イョ」の音とほぼ同じです。
動画で確認してみてください。
[ ɑ ]
これはカタカナの「ア」を、もっと口と喉をぐっと開いて「ア」と言うと出る音です。
口をあまり開けないときの「ア」と、口と喉をぐっと開いた「ア」を実際に発音して、音の違いを確かめてみてください。
この記事では標準的なアメリカ英語をベースに解説しているため、こちらの動画で確認してください。
[ æ ]
これは文字どおり「あ」と「え」が混じった音です。
日本語で「あ」と声を出しながら徐々に「え」に近づけてみてください。
その「あ」が「え」になりそうな音が [ æ ] です。
つまり「あ」と「え」の中間ではなく、どちらかというと「え」寄りです。
この音はアメリカ英語で特に顕著なので、こちらの動画を参考にしてください。
[ ʌ ]
日本語の「あ」にちょっと「お」が混じった音です。
先ほどの [ æ ] と同様に「あ」から徐々に「お」に近づけたときの中間か、やや「お」寄りの音です。
この [ ʌ ] は人によってかなり「お」よりの人がいたり、逆に「あ」寄りの人がいたり、結構まちまちなのですが、アメリカ英語では、やや「お」寄りが多い気がします。
これは動画より、音を参考にした方がいいですので、こちらのサイトで標準的なアメリカ英語の音を確認してください。
[ ɔː ]
これは口の中にゆで卵を入れているとイメージします。
口を開けるというより、口の中のスペースを大きくとる感じです。
その状態で日本語の「お」と言えばそれが[ ɔ ] の音です。
[ ː ] は伸ばすという意味なので、その音を「おー」と伸ばせばOKです。
動画で確認してみてください。
[ ɚ ]
これは先ほどの [ r ] とベースは同じで、舌をちょっと奥に引きながら、どこにもくっつけないで「らりるれろ」と言ったときの「る」がこの [ ɚ ] の音です。
こちらのサイトで音を確認してみてください。
ちなみに、この音はアメリカ英語特有で、イギリス英語では使いません。
この音ができると、格段に発音が英語っぽく、カッコよくなりますので、マスターしましょう。
[ ə ]
これはあいまい母音と呼ばれているもので、発音も弱めで発音もあいまい。
「あいうえお」のどれにも属さない母音なので、説明が難しいです。
雰囲気的には、子どもの頃、勉強しなさいと親に言われて、「あぁ(うん)」というちょっと鼻にかかったような、嫌々したやる気のない適当な返事をしたことがありませんか?
あれに近い気がします。
あの音も「あいうえお」のどれにも属さない、力の抜けたような音ですよね(笑)
上の説明が最も分かりやすい気がしますが、動画でも一応確認してみてください。
英語のアクセント記号【2個あります】
発音記号と合わせて、覚えておかなければいけないのが、アクセントです。
アクセントを間違えると通じません
英語には、アクセントというものがあります。
日本語では、音の高い低いで言葉を発音しますよね。
英語では、音の高い低いではなく、強弱で発音します。
強く発音するところを、アクセントといい、どこにアクセントを置くかは非常に重要です。
海外旅行に行って、こちらが一生懸命しゃべっているのに、全然言葉が通じない原因の一つはこのアクセントです。
アクセントの位置込みで、その言葉(単語)なのです。
それぐらい大事だということを、まずは強く認識しましょう。
アクセント記号
では、アクセント記号について具体的に見ていきますが、非常に単純です。
2種類しかありません。
notebook(ノートブック)という単語を例にして考えましょう。
発音記号は [nóutbùk] となります。
[ó] の上に付いている左下がりのチェックのような記号が第1アクセントで、その単語で一番強く発音する場所です。
次に [ù] の上に付いている右下がりのマークが、第2アクセントで、その名のとおり、二番目に強く発音するところです。
それ以外のところは、ざっくり言うと、弱く適当に発音しておけばOKです(笑)
- [ ó ] (左下がり)=第1アクセント ⇒ 1番強く発音する
- [ ù ] (右下がり)=第2アクセント ⇒ 2番目に強く発音する
あいまい母音 [ ə ] とアクセント
ここは、ある程度中級~上級者向けの話なので、初心者の方は忘れてもいいです。
第一または第二アクセントが置かれる音以外で母音がある場合、基本的に全部あいまい母音 [ ə ] になります。
たとえば、breakfast(朝食)という単語を見てみましょう。
発音記号は [brékfəst] です。
アクセントは [é] で、それ以外で母音のところは fast の [fəst] の [ə] であいまい母音になっています。
これが原則になりますが、実際のリアルな英語では、第一アクセント以外のところは、第2アクセントも含めて全部あいまい母音になると考えておきましょう。
ネイティブが話す、生のカジュアルな英語では、第一アクセント以外はほとんど聞こえないということもよくあるからです。
言い換えると、「(他が全然聞き取れないので)第一アクセントの音だけで言葉(単語)を判断しなければならない」ということです。
聞き慣れるしかないですね。。
【独学でOK】発音がうまくなるには?発音の学び方
以上で、知っておくべき発音記号はすべてカバーしました。
これ以外は、この14個を組み合わせたり、そのままローマ字読みだったりするものばかりですので、特に勉強しなくても大丈夫です。
発音記号を学んだら、あとは何度も実際に声を出してみて、練習するしかないです。
気になる単語、初めての単語はどんどん辞書で調べて、これからは意味だけでなく、発音記号も一緒に確認しましょう。
最近は音声機能の付いたオンライン辞書や電子辞書も多いですから、「こういう発音かな?」と自分なりに考えて、実際の音声と答え合わせをしてください。
最初は自分の思った発音と違うということも、多いかもしれませんが、どんどん辞書で発音記号を確認、答え合わせをするたびに、あなたの発音スキルは上がっていきます。
これは間違いないです。
そのうち、スペルを見ただけで、発音が分かるようになります。
スペルと発音については、ある程度のルールがあり、それを解説している本などもあるのですが、あまりオススメしないです。
発音についての雑学が増えるだけで、発音が分かるようにはならないからです。
そんな知識より、何度も辞書で発音記号を確認し、実際の発音を学ぶ方が効率的だと思います。
私もそうやって学びましたし、スペルと発音の関係は、自然と分かるようになりますので、まったく心配ご無用です。
では、どう勉強するか?ですが、私もそうでしたが、独学で基本OKです。
私も発音は「英語耳」の参考書1冊だけで習得できました。
最初に紹介した第二言語習得論(SLA)を研究している白井氏の本でも、独学でOKだと言っています。
発音については、多くの人にとって、独学で十分でしょう。英語の音声を「できるだけ」正確にまねる。 ・・・発音がうまくなる条件の中で一番重要なのは、「発音の正確さに対する興味」です。つねに正しい発音をしようという気持ちが大切です。
英語はもっと科学的に学習しよう(白井恭弘 著)
ただ、中には、
「参考書で勉強するのが苦手だ、やる気が出ない」
という人もいると思いますので、そういう人は本を買うよりちょっと高いですが、英語教材を使ってみても良いでしょう。
英語の勉強法については、いろんな人がいろんなことを言うと思いますが、私のポリシーとしては、「山の登り方は何通りもある(一つではない)」ということです。
私が上記で紹介したような学問的な見解は、ある程度客観性があるので、信頼していいと思います。
しかし、私も含めて、個人が発信している内容はあくまで「その人本人に有効だった。」というだけです。
結局、本人が一番モチベーションが上がる、やる気の出る方法でやるのが最も効果的で、このことは科学的にも、証明されています。
動機づけが高いとされた学習者が、外国語学習に成功する可能性が高いことがわかっています。
英語はもっと科学的に学習しよう(白井恭弘 著)
私が発音を独学でマスターした方法については、以下で詳しく解説しています。
発音ができる=リスニングもできる!
この記事では発音を学びたい人が、効率よく学べるように14パターンに凝縮して解説しました。
英語の発音を理解し、実際に発音できるようになると、リスニング力も向上します。
なぜなら、あなたがリスニングができないのは、英語の発音が身についていないからです。
たとえば、”マップ” という音を聞いて、どういう意味だと思いますか?
地図ではありませんよ。
正解は、掃除に使うモップです。
英語の発音が分かっている人は、ここを聞き間違えません。
リスニングと発音は密接に関係し合っています。
私が発音本で有名な「英語耳」でリスニング力が一気に伸びた話は、こちらで詳しく書いています↓
発音ができると、なぜリスニングもできるようになるのか、これで分かってもらえたかと思います。
実際、私がTOEIC400点台 ⇒ 700点台に、1年半でスコアアップできたのは、発音をしっかり学び、リスニング力が伸びたからです。
おすすめのリスニング参考書については、以下で書いています。
基本的に発音は独学でOKですし、私が↑の記事で紹介している2冊をやれば、かなりの水準まで達することができます。