TOEICでは800点取れたんだけど、映画がほとんど聞き取れない。今までの勉強は何だったんだろう・・・。ネイティブの英語は早すぎるし、一生無理なのかなぁ。
TOEICでそこそこハイスコアが取れたあと、ハリウッド映画を見てみると、聞き取れなすぎて絶望したことがあると思います。
ネイティブの英語というのは、ネイティブがネイティブ向けに話しているので、「自分の話を相手は全部聞き取れるし、意味も全部分かる」と何の疑問も、不安もなくしゃべるので、基本的にノンネイティブには難しいです。
私も映画や海外ドラマは、字幕がないと(モノにもよりますが)半分ぐらいしか聞き取れないので、全然楽しめません。
それでも、ある程度生の英語で勉強していると、少しずつどんどん聞き取れる範囲が増えてきます。
私は以前海外に少し住んでいましたが、出国時のTOEICは705点。
相当、現地の生の英語には苦労しました。
話すスピードは早いし、訛ってるしで、ネイティブ英語の洗礼をしっかり受けました。
まず、仕事でも相手の言っていることが理解できないので、完全に子ども扱いされます。
聞き取れないと、会話の内容が理解できないので、意見も言えない。
スピーキングも苦手だったので、言いたいことも、いいアイデアがあってもうまく言えないという、ストレスのたまる毎日でした。
そんな私を救ってくれたのが、これから紹介するellloだったのです。
もくじ
ネイティブの英語はなぜ聞き取れないのか?
なぜ同じ英語なのに、TOEICの英語は聞き取れても、ネイティブの生の英語が聞き取れないのでしょうか?
そもそも目的が違う
- ネイティブの生の英語 = コミュニケーションのため
- TOEICなどの収録英語 = 理解してもらうため
冒頭で少し書きましたが、ネイティブの生の英語の場合、
ネイティブ → ネイティブ に向けて話すため、純粋にコミュニケーションとして話します。
そこには「相手が聞き取れないかも」「理解できないかも」という心配は一切なく、容赦なく話すので、聞き取りが難しくなるのです。
一方で、TOEICなどの収録英語の場合、
ネイティブ → 外国人(非ネイティブ) に対して話すので、相手が理解できるように話します。
これは専門用語で「フォーリナートーク」といって、ゆっくり話したり、分かりやすい語彙を使う傾向にあります。
私たちだって、片言の外国人に話すときは、多少はっきり話したり、難しい言葉を使わないようにしますよね。
あれと同じです。
話すスピードが早い
一般的な傾向として、ネイティブが容赦なく話すと、自然とスピードも早くなります。
ただ、これは人によって違うので、ゆっくり話すのが自然な人もいます。
私が昔日本で英語を習っていたアメリカ人の先生は、結構ゆっくりめに話す人でしたが、「これが私の自然なスピードだ」と言っていました。
私の個人的な印象としては、女性の方が早口な気がします。
なので、以前オンライン英会話をやっていた頃は、練習のため、できるだけ女性の先生を指名していましたね。
音声変化、リンキングが激しい
音声変化はリラックスした状態で話すと、自然に発生するものなので、容赦なく自然なスピードで話すと、音声変化が激しくなります。
- 短縮 ex. I am ⇒ I’m
- 連結 ex. check out ⇒ 「チェカウ」
- 脱落 ex. get together ⇒ 「ゲットゥギャザ」*getのtを発音しない
- 同化 ex. would you ⇒ ウジュ
- 弱形 ex.know him ⇒ ノウイム *hが消える
- 変形 ex. water ⇒ ワラー
自分が思っている音と違う感じで聞こえると、リスニングが一気に難しくなります。
使う単語やフレーズが豊富
なんの遠慮もなく話すと、単語や表現が自然と難しくなります。
日本人だって(地方出身者なら)容赦なく話せば、その土地の人しか分からないような方言や訛りが出ますよね。
若者にしか通じないような言葉づかいもありますし、「忖度(そんたく)」みたいな日本人だってあまり知らないような難しい語彙もあります。
私たち日本語ネイティブ同士が話す会話には、こうした表現が意識せずとも、ちょくちょく出てくるので、非ネイティブには難しいのです。
アクセントや発音が人によって違う
音声変化のところで書いたように、人は自分が思っていたとおりの音が聞こえないと、別の音として認識します。
アクセント(訛り)やストレス(センテンスの中でどこを強く読むか)も、話者によって異なります。
私が住んでいた地域でも少し訛りがありましたし、ストレスも同じアメリカ人でも人によって違います。
実際私もヒアリングマラソンで何度も経験していますが、ストレスの位置というのは、ある程度定番的な位置があるため、位置が違うと途端に聞き取れなくなったりします。
一方で、TOEICなどの収録された英語の場合、個人差を排除したスタンダードな発音で行われますので、ある程度パターンが分かると聞き取りやすいのです。
elllo.org とは?【世界で愛されている】
ellloとは、English Listening Lesson Library Onlineの略で、アメリカ人の英語教師Toddさんが運営している英語学習サイトです。
英語でいろいろググってみると分かりますが、ellloは世界中でそこそこ有名です。
特に教師など、世界中で実際に英語を教えている人たちに、教材として使用されているようですね。
内容としては、いろんな国のイングリッシュスピーカーが、それぞれの文化や価値観、身近な話題などをインタビュー形式で話している、台本なしの即興の会話になっています。
実は、Toddさんは日本の大学で教員をしており、大分県の別府に住んでいて、ちょっとググってみましたら、立命館アジア太平洋大学の嘱託教員だそうです。
立命館アジア太平洋大学は大分県別府市にあるので、ビンゴですね(笑)
Toddさんが日本に住んでいるということで、日本にちなんだ話題、日本文化についての音源も多く、内容自体も聞いていて面白いです。
各レッスンには、会話の中に出てきたボキャブラリーの解説や内容理解クイズがあるので、学習素材として活用するのにピッタリです。
レッスンは今もなお増え続けていて、現在1500以上が無料でアクセスできるようになっているので、全部聞ききれません!
ともかく、実際にellloのサイトを見てみるのが一番分かりやすいかと思います。
今でこそYoutubeを見れば、ネイティブの生の英語に触れることは容易ですが、ellloはその走りみたいなものだったと思います。
ellloの良いところ、イマイチなところ
- 台本なしのネイティブの生の英語なので、スピードも表現も自然
- スクリプト付きで、内容理解クイズ、ボキャブラリー解説もある
- いろんな国の人が登場するので、アクセントも発音も多様
- 話している内容が面白い!
- レッスンの数も1500以上あるので、面白そうなものを選んで聴ける
- Toddさんが好き
- 1レッスンの音源が3分前後でちょうどいい
基本的に、容赦ないネイティブの英語そのままなので、リスニングの勉強になります。
また、使われているフレーズも自然に口から出てきた “本物” ばかりなので、そのままスピーキングでも使えます。
あとは、やっぱり面白いというのが一番の魅力です。
さまざまな国のさまざまな話者が、思い思いに言いたいことを言っているので、純粋に聴いていて面白いです。
実際私も、何度も笑いながら聞いていました。。
Toddさんはちょっとお茶目で、冗談を言ったりするので、それがまた好きです。
それに「あー、アメリカ人はやっぱりこういう感じなんだ。」
とか、文化的な違いなど発見があって楽しいですね。
イマイチなところは、サイトデザインがちょっと古いことですね。。
たぶん、サイト自体が巨大化しすぎて全部直そうとすると、莫大な費用と手間がかかるんじゃないかと思います。
音源も過去のレッスンはFlashを使っているので、機種によっては再生できなかったりします。
【体験談】私はellloで何を勉強したのか?【リスニング】
私はellloを見つけたのは、海外でリスニングで苦労しているときでした。
リスニング力を上げるためには、ディクテーションが効果的だということで、何かディクテーションをする題材を探していて、できればネイティブの生の英語でやろうと思っていました。
ネイティブのリアルな英語をネットで探そうとして、Youtubeで「english lesson」と検索するとすると、沢山ありすぎて選びたい放題ですよね。
でもちゃんと選ばないと、時間と労力を無駄にすることになるので、そこは注意が必要です。
私が実際にellloで勉強した方法は、
- 自分が聞いてみたい内容のレッスンを探す
- 話者はリスニング強化のため、アメリカ人同士のものをチョイス
- 音源をダウンロード(その方がリピートや巻き戻しなど勉強しやすい)
- スクリプトを見ずに何度かリスニングする
- 内容理解クイズをやる
- ディクテーションする(音源全体を文字起こし)
- スクリプトでディクテーションの答え合わせする
- 間違えたところを自分で聞き取れるまで聞き直す
- 生の英語だと本当に聞き取れない時もあるので、その場合は飛ばす
- ボキャブラリー解説を見る&分からない単語やフレーズを調べる
- 改めて、通しでリスニングして全体を確認
たった3分前後の音源で、ディクテーションは2~3時間かかった気がします。
ディクテーションは何度も何度も聞き返すので、何度聞いても面白いと思えるものじゃないと続きません。
心から面白いと思えるものだと、自然と「何て言っているのかちゃんと知りたい!」という気持ちが湧くので、その意味でもellloは私にとって正解でした。
実際、これを続けていたら、みるみるうちに、リスニングができるようになっていました。
私がこのとき取り組んだディクテーションの勉強法を、こちらの記事にまとめてみましたので、合わせて読んでみてください(↓)
また、会話の中のフレーズや、しゃべり方を真似するようになって、スピーキングもこの頃同時に伸びました。
私のスピーキングのテンポ感や、UmmとかYou knowといったfiller(挟み言葉)の使い方は、Toddさんのしゃべり方にかなり影響を受けています(笑)
最終的に、最初の頃の私の英語力を知っている現地の同僚などは、「英語すごく上手になったね」と感心していましたね。
ellloを初めて聞く方に、ぜひ聞いてほしい音源(レッスン)を3つ厳選してみました。
古い記事だったりするので、もし聞けなかったらすみません!
Toddさんが日本の自宅について、アメリカ人と話します。
Toddさんはかつてフリーランスでノマド生活をしていたという話。
私がフリーランスという言葉を知ったのも、ノマドについて知ったのも、ネットで生計を立てるというアイデアも、全部Toddさんが教えてくれました。
アメリカに対するイメージについて、アメリカ人が話します。
いろんなジャンルの生の英語に触れよう
ネイティブの英語が聞けるようになるためには、ネイティブの英語に慣れる必要があります。
最初の方に解説したように、スピードや音声変化、発音はネイティブの英語の場合、かなりレベルが高いです。
これは努力して、生のネイティブの英語に触れ続けることしか、解決策はない気がします。
私の場合、ellloをひたすらディクテーションしたことで、リスニング力が一段上のレベルに上がりましたが、その後はまたヒアリングマラソンという教材を使いました。
1年間ヒアリングマラソンを受講してみて、実際感じた効果など、感想をこちらの記事にまとめています。
とはいえ、ネイティブのリアルな英語ばかり聞いていればいいかというと、そうでもありません。
ネイティブの生の英語と、TOEICのようなスタジオではっきりくっきり収録された英語では、性質がかなり違うし、それぞれに利点と欠点があるので、使い分けることが大切です。
また、今の時代ネットを探せばいくらでも、ネイティブのリアルな英語に触れられます。
ネットで無料で勉強しようというのは、手軽な分、スクリプトなど必要なものが揃っていなくて、ただ聞き流すだけで時間の無駄になりがちです。
ellloは今や古典のような存在なので、デザインなど今風のものを探したいという人は、先ほどもリンクを置きましたが、探し方のポイントをこちらの記事にまとめていますので、合わせて読んでみて下さい(↓)