英語を話せるようになりたくて、瞬間英作文を勉強しようと思うんだけど、本もいろいろあるみたいだし、どれを選べばいいのかな?
瞬間英作文というのは、2006年に森沢洋介氏が書いた「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」という英語学習本が元ネタです。
しかし、それ以降、瞬間英作文は効果があると噂が広がり、今では固有名詞ではなく、瞬間英作文という学習法一般を指すようになってきました。
瞬間英作文を勉強できる本や教材も増えてきて、何をやればいいの?と迷うという人も多いのではないかと思います。
この記事では、あなたの目的やレベルに合わせた本・教材の選び方や、具体的に私のおすすめも紹介したいと思います。
もくじ
瞬間英作文の本・教材の選び方
英語を話せるようになりたい!というのは共通だとして、もっと掘り下げて目的をハッキリする必要があります。
本家の「どんどん話す・・・瞬間英作文」はそもそも、中学英語の文法・構文をしっかり使いこなすということに主眼があります。
ただ、英文法を使いこなせたからといって、日常会話ができるとは限りません。
つまり、自分が身につけたいスキルに合わせて本・教材を選ぶ必要があるのです。
瞬間英作文の学習でできることは、大きく以下の2つです。
- 英文法を使いこなして、英語で言いたいことを表現できるようになる(最終的に上級者を目指したい人はコレ)
- 海外旅行やかんたんな日常会話ができるようになる(旅行先などでちょっとしたコミュニケーションが取れればOKで、上級者を目指すつもりはない)
まず、最終的に仕事で英語が使いたい、ペラペラになりたい!といった英語の上級者を目指すならば、英文法を使いこなすことは必須です。
英文法をマスターすることで、あとは単語やフレーズなどを入れ替えれば、英語で自分を無限に表現することができます。
このレベルを目指すなら、フレーズ中心で勉強するのは、あとあと行き詰る可能性があります。
一方で、海外旅行のホテルやレストランなどで必要なフレーズが言えればいい、また旅先で出会った人とちょっとした会話を楽しめればいいという人は、フレーズ中心の瞬間英作文をした方が効率的です。
私は以前海外に住んでいたことがあるのですが、その当時、スピーキングが苦手で瞬間英作文をやっていました。
ところが、瞬間英作文は普段使うようなフレーズがまったく無くて、英文法を使いこなすことには役に立ちましたが、日常生活の英語は全然下手なままでした。
この経験から、日常会話をマスターしたいなら、フレーズを学ぶ瞬間英作文の方が確実に即効性があると確信しています。
瞬間英作文の取り組み方・勉強法
目的の次は、取り組み方についても少し解説しておきます。
いくら目的に合ったツールを手に入れても、使い方がお粗末だと、思ったような効果は出ませんからね。
いきなり答えを見ない
先ほどの2つの目的に合った教材に共通して言えるのが、いきなり答えを見ずに、少しぐらいは自分で考えてみるということです。
どの参考書・教材も、「日本語が先に出ていて(聞こえて)、あなたがそれを時間内に英語に直す」というスタイルをとっています。
日本語→英語のスピードを高速化するのが瞬間英作文です。
この日本語を英語に直す作業を何度もすることで、脳が慣れて高速化するので、これをサボると効果は半減します。
一番最初は答えを見たとしても、2回目(2周目の復習)のときはそれを何とか自分で思い出す(英語に直す)作業をぜひやってほしいのです。
いつまで経っても答えを見て、「あーそうそう、それそれ」とやっていては日本語→英語に直すプロセスを全然しないことになるため、いつまで経っても英語は話せるようになりませんよ。
最初はなかなか英語が出てこないし、自分で考えるのは面倒ですが、なんとか我慢して日本語→英語の作業をがんばってみてください。
答えは感情を乗せて声に出す or 口パク
日本語→英語の作業をしたら、必ず声に出してみてください。
声に出さなくても、声を出している気分で口パクまたはボソボソの小声でもいいので、話すということを必ずしましょう。
当然ですが、英語が話せるようになるためには、英語を話すことが必要で、話せば話した分だけ、話すのが上手になります。
また音源があるものは発音も真似して、できるだけ自分が言っている気分で、(できれば具体的なシチュエーションを思い浮かべながら)気持ちを込めて言うと、頭に残りやすいのでおすすめです。
何度も復習する
一度使う本や教材を選んだら、できるだけ継続して、口になじんでくるまで何度も復習しましょう。
英語は頭の中で分かっているのと、実際に話せるのは全然違います。
スポーツと似ていて、たとえば野球なら、頭で分かっていて素振りを1回やっただけでは、当然本番では打てませんよね。
素振りを何度も何度もやって、身体に染みこませて、やっと本番でも打てるようになります。
英語も同じように、話せるようになるためには、何度も何度もくり返して実際に使い、口に馴染んでくるまで使い込むことが必要です。
そうして口に馴染んだフレーズというのは、脳にも定着して、必要なときにとっさにパッと口から出てくるようになりますよ。
何回やったらいいかというのは目安は特にありませんが、日本語→英語に瞬間的に直す作業がまったくストレスなくできるようになってきたら、そのフレーズは一旦卒業でいいかなとと思いますね。
おすすめの本・教材
では、ここから具体的におすすめする本や教材を、紹介していきたいと思います。
以下に、目的別にまとめておきます。
海外旅行やちょっとした日常会話を学びたい | 絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編 英会話タイムトライアル |
最終的に英語を使いこなす上級者を目指したい | どんどん話すための瞬間英作文トレーニング 一億人の英文法 ~すべての日本人に贈る「話すため」の英文法 ラジオ英会話 スタディサプリENGLISH |
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
本家の瞬間英作文は外せません。
こちらは完全に、文法をマスターしていこうという人におすすめの本になります。
内容としては中学英語を使って、実際に話せるようになるためのトレーニングです。
ゆくゆくは英語の上級者を目指したい人は、スピーキングの基礎を固めるために最適だと思いますね。
現在初心者の人も、TOEICで高得点を取っているけど、話すのが苦手という人にもおすすめです。
文法をマスターするための本でありながら、個々の文法項目についてはあまり解説がありません。
初心者の場合、あとで紹介する「一億人の英文法」など、文法をしっかり解説した本を辞書的に手元に置いておくといいですよ。
私が実際にやっていた瞬間英作文のやり方や効果については、こちらで詳しくまとめているので、興味のある人はあわせて読んでみてください。
絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編
こちらは瞬間英作文では後発の本でありながら、コンセプトがよくできていて、とても評判のいい本です。
こちらはどちらかというと、文法よりも日常会話をマスターしたい人におすすめですね。
コンセプトは、向かいに実際に人がいて対面しているような絵が書かれているので、それに対して一言パッと英語が出てくるようにトレーニングするというもの。
会話している情景が描かれているので、シチュエーションを思い浮かべやすく、記憶が定着しやすいというのが特徴です。
日常会話フレーズをまとめたものとしては、フレーズの数が少ないのですが、その分各フレーズの使い方など、しっかり解説されていて、最初の1冊としては、おすすめですね。
一億人の英文法 ~すべての日本人に贈る「話すため」の英文法
これは瞬間英作文用に作られた本ではないのですが、例文のクオリティが高く、実用的なものものばかりで、私もかなり使い込んでいます。
上級者を目指すならぜひ、この本で瞬間英作文をするのがおすすめです。
著者の大西先生はあとで紹介する、NHKラジオ英会話の講師でもあり、ネイティブの英語の使い方を解説させたら日本で有数の分かりやすさ。
大西先生の著書は、何冊も読みましたが、どれもハズレがなく、「ああ、こうやって使うんだ」という発見がいつもあります。
この本は英文法を解説した本なので、大西先生の分かりやすい「実際に話せる」文法をマスターするのは、上級者になったとき必ず活きてきますよ。
文法書にありがちな、時代遅れの例文や、実際にほとんど使わないフレーズなどは極力排除されているのも、ポイント高いです。
もともと文法を解説するための参考書なので、瞬間英作文をするには少し不便で、工夫が必要ですが、それをはるかに上回るメリットがあると思いますよ。
ただ、700ページぐらいあってかなりボリュームのある本なので、上級者を目指さないなら、おすすめしません。。フレーズ式のものの方が効率的です。
英会話タイムトライアル(NHKラジオ)
こちらは人気英会話講師のスティーブ・ソレイシィさんがMCをつとめるラジオ講座です。
タイムトライアルという番組タイトルにあるように、番組では制限時間内にクイズに答えるような感覚で、瞬間英作文の勉強ができます。
細かい文法の解説はあまりないので、英語を話したい!という人にはぜひおすすめです。
そもそもスティーブ・ソレイシィさん自身が、細かい文法などに気にせず、「とにかく英語圏ではパッと答えられるスピードが一番大切」という考え方。
その代わり、どんな場面でも使いまわしのできる万能なフレーズを中心に学ぶので、瞬間英作文で日常会話を学びたい人には、ピッタリだと思います。
スティーブ・ソレイシィさんの著書は私も何冊も読みましたが、実際に使えるフレーズ、よく使うフレーズばかりなので、即効性が抜群です。
本で勉強するのもいいですが、ラジオ講座も独りで勉強する孤独感がないので、楽しく学べると思います。
ラジオ英会話(NHKラジオ)
先ほど紹介した「一億人の英文法」の大西先生がメイン講師をしている、NHKラジオ講座の看板番組です。
内容としては、一億人の英文法と同様、話すための英文法を学ぶという番組なので、上級者を目指したい人におすすめします。
基本的には一億人の英文法と同様、文法を学ぶ番組なので、海外旅行やちょっとした日常会話を学びたい人にはちょっと重すぎる気がしますね。
番組内では、文法を使って実際に話してみよう、というコーナーがあり、実際に制限時間が設けられて、瞬間英作文をトレーニングできます。
実際に本だけでは分からなかったポイントや、本に書いていないような英語のニュアンスの解説なども学べるので、一億人の英文法と並行して勉強するとベストですよ。
スタディサプリENGLISH
リクルートが開発したこの英会話アプリは、累計100万ダウンロードを突破し、英語学習者の中では知らない人はいないぐらいになってきました。
リスニングとスピーキング、文法や単語までオールインワンで学べる英会話アプリで、私も使っていますが、本当におすすめです。
先ほど紹介したNHKラジオ「英会話タイムトライアル」講師のスティーブ・ソレイシィ氏が動画でフレーズ解説をしてくれます。
アプリの中では「瞬間発話プラクティス」というパートがあり、レッスンで習ったフレーズを使って瞬間英作文するトレーニングができます。
制限時間もあって、ゲーム感覚があるので、楽しく瞬間英作文をしたい人にはおすすめです!
【目的が大事】英語で何を話したい?
ここまで、瞬間英作文のためのいろんな本・教材を紹介してきましたが、重要なポイントとまとめますと、
- 英語で何を話したいか?(海外旅行?日常会話?ビジネス英語?)
- 最終的にどのレベルを目指したいか?(上級者になりたい?)
瞬間英作文というのは、英語を話すための道具にすぎないので、何のために英語を話すかということが最も大事です。
海外旅行で困らないぐらいの英語が話したいのか、最終的にビジネスでも使えるペラペラのレベルを目指すのかで、選ぶべき本・教材は変わってきます。
ちなみに、日本に住んで普段英語が話せなくてもほとんど生活に支障がないような人が、英語の上級者を目指すのは、趣味でやるのはいいですが、基本的におすすめしません。
私は今でこそ仕事で英語が使えるレベルになっていますが、ここまで来るのに5年以上かかっていますし、今でもまだまだ自分では勉強が必要だと思っています。
英語を習得するために生活では多くの時間・お金を使っていますが、大半の日本人にとってこれほどの多くの犠牲を払うメリットはありません。
その点も踏まえて、ぜひ自分の目的やライフスタイルに合ったものを選んでくださいね。